• バーチャルパワープラント(VPP)の時代へ
2018/9/7

バーチャルパワープラント(VPP)の時代へ

昨今、太陽光発電や風力発電など全国各地に発電設備が増え始めました。太陽光発電に関しては、一般家庭でも比較的導入しやすい設備のため、私たち(需要家)でも発電が行える時代になりました。
太陽光発電や蓄電池、ネガワット(節電した電力)などのエネルギーリソースが揃った現在、それらを活用した「VPP」という新しい電力システムの構想が話題となっています。

バーチャルパワープラント(VPP)とは?

バーチャルパワープラント(VPP : Virtual Power Plant)とは、太陽光発電や風力発電、蓄電池、燃料電池など…、各地域にある分散している小規模の発電設備を、Iot(Internet of Things)を活用してエネルギーを束ね(アグリゲーション)、それを制御・管理して使用する電力システムのことです。

VPPの構成図

近隣にある小規模な発電設備のエネルギーを束ね、1つの大規模な発電所のように機能させることから、バーチャルパワープラント(仮想発電所)と呼ばれています。遠くの発電所から送電せずに、近い地域で送電するため、需給バランスを最適化させることも可能となります。

アグリゲーションとは?

アグリゲーションとは、複数から提供されるものを集約し、1つのサービスとして提供していくことを指します。今回の場合、各地のエネルギーリソースを統合制御し、VPPからエネルギーサービスを提供する事業者のことを「アグリゲーター」と呼びます。

VPPを支える3つのエネルギー

VPP(バーチャルパワープラント)で扱うエネルギーリソースは、主に「創エネ」「蓄エネ」「省エネ」の3つに分類されます。

VPPで扱うエネルギーリソース図
創エネ 近隣の各地にある太陽光発電や風力発電、地熱発電などの小規模な再生可能エネルギーをまとめて活用します。また、需要家で利用している家庭用燃料電池(エネファーム)などのコジェネレーションシステムなどもエネルギーのリソースになると予想されます。
蓄エネ 蓄電池などを利用して電力を「充電」「放電」できるエネルギーもリソースとなります。
省エネ 電力を使用するピーク時の時間帯に節電を行う「DR(デマンドレスポンス)」など需要家側で電力を効率的に使用するエネルギーも重要なリソースの1つです。
DR(デマンドレスポンス)

DRとは、「デマンドレスポンス(Demand Response)」の略で、電力のマネジメントにより、需要パターンを変化させることです。

VPPのメリット

VPP(バーチャルパワープラント)を行うことで、電力の有効活用することが可能になり、経済的にもメリットがあると期待されています。

発電コストの削減

火力発電所や原子力発電所などの大規模発電設備では、電力需要がピークになる時間帯に合わせて発電設備を維持・管理されています。
この電力需要がピークとなるのは、年間でほんのわずかな時間ですが、需要と供給のバランスを取るためには必要な対応となります。しかし、このピークとなる時間帯の電力需要をVPPやDRで抑制できれば、発電設備の維持や投資にかかるコストを抑えることができます。

また、ピーク時には燃料費が高い電源の焚き増しにより需要を満たしているケースが多いため、この焚き増し分の発電コスト削減にも繋がり経済的です。

省エネの促進

VPPを利用することで、エネルギーを有効活用できるため、電気代が安くなるといわれています。

災害時にも活躍するVPP

VPPの電力システムでは、複数の小規模な発電設備からエネルギーを供給するため、電力会社のような大規模な発電設備に依存しません。そのため、災害時に電力共有がストップするリスクを分散することができます。

負荷平準化

エネルギーを有効活用することでも期待されています。例えば、電力使用がピークとなる時間帯の需要量を下げたり、発電設備の発電した電力が供給過剰で余った場合、他の場所で利用するなどして電力需要の負荷を平準化できるようになります。

再生可能エネルギーのさらなる普及

現在、九州電力や四国電力をはじめ、電力会社では需給バランスの調整を行うため、太陽光発電などの発電設備に出力制御のルールを設けています。しかし、VPPなどの電力システムで需給バランスを最適化することで、再生可能エネルギーを無駄なく活用できるようになり、さらなる普及が期待できます。

VPPの実現に向けて

VPP(バーチャルパワープラント)は、国が推奨している取り組みの一つです。VPPの実現に向けて、実証事業も始まっております。

VPPの背景

これまで、各地域の電力会社では、需要と供給を同じにすることで、電力のバランスを保つ同時同量を行うために集中発電システムでした。
しかし、2011年の東日本大震災の際、原子力発電所の停止などで電力供給量が激減するという事態となり、以後、政府は再生可能エネルギーの導入などでエネルギーを分散させることを推進してきました。

再生可能エネルギーは供給量が天候に左右されますが、蓄電池や燃料電池、電気自動車などのエネルギーリソースやIotの普及により、天候に左右されずに効率的なエネルギーの利用が可能となります。

このような背景から、VPPのような分散型のエネルギーソースを活用する電力システムを構築することで、原子力発電所などの大規模な発電設備に依存しない社会へと変化しつつあります。

同時同量とは?

安定した電気を利用するためには、供給と需要を常に同じ量にする必要があります。
需要に応じて供給の量を同じに調整することを「同時同量」と呼びます。このバランスが崩れてしまうと電力の安定供給に支障をきたし、大規模停電となる恐れもあります。
そのため、電力会社では、電気を使用する需要の量を予想しながら供給する量(発電する量)の調整を行っています。

VPPの構築事業

経済産業省は、2016年4月18日に「エネルギー革新戦略」を発表しました。この計画内容の1つに、VPPの事業化に向けて支援する旨が掲載されています。

同年、「平成28年度バーチャルパワープラント構築事業費補助金(バーチャルパワープラント構築実証事業)」を導入しました。これは、2016年~2020年までの5年間の事業を通じて、50MW以上のVPPの制御技術の確立などを目指した補助金制度です。

出典:経済産業省「バーチャルパワープラント構築事業費補助金」